【ルフィの旅立ち】
約1年半、研修生としてがんばったルフィが
今日、地元の岐阜県に戻りました。
研修生の卒業の仕方はそれぞれです。
もう大丈夫だ、一人でもがんばれる!
と、背中を押される形で卒業の子もいれば
逃げ出してしまう子もいます。
ルフィはなかなか負のループからの脱出のために
今は伊勢で研修を受けるんじゃなくて
親御さんの元に戻るという事にしました。
ルフィは最近特に気分の上がり下がりが激しく、
なかなか前に進めないでいました。
統合失調症などの、何かしら障害があるんじゃないかと疑ったほどでした。
ここ3か月ぐらいルフィといろいろと話をしました。
その中で気が付いたこと。
昔からあるトラウマのようなものが取れない限り、
僕らがいくら励ましたり、明るい未来の話をしても
きっとルフィは前に進めないんじゃないかということ。
お兄ちゃんだったルフィは小さいころにいろいろと我慢をしてきたそうです。
でもそれがいつか糸が切れて引きこもることになってしまい、
ふと昔を思い出すような場面に出くわすと、
『なんでおればっかり!』
という怒りがこみ上げ、親にあたり、周りにあたり
そして自分はコミュニケーションが苦手だと自分にあたり、
そして自信を失っていました。
親御さんとも話をして、ルフィがこれからしっかり前を向いて
歩いていくためには、今必要なのは昔出来てしまった
親御さんとのモヤモヤを取り払うことだと思い、
お父さんとお母さんと相談した結果、
一度、岐阜に戻ることにしました。
自分の気持ちをゆっくりでいいから、感情的にならずにきちんとお父さんお母さんに話をすること。
そして、自分だけではどうしようもないときはいつでもおれに電話してくるように。
これを約束して別れました。
岐阜への帰り道、
『ルフィ、お父さんとお母さんにこれからしてほしいことある?』
と訊ねると、
『…苦しまないでほしい。』
という答えが返ってきました。
これはきっとルフィの本音だし、引きこもってる多くの子たちの本音だと思います。
本人が苦しそうだし、本人を何とかしなくては
と周りは思いがちですが、
彼らからすると自分なんかより大好きなお父さんお母さんが苦しんでる方が苦しいんだと思います。
それをはっきり伝えることができない。
だから態度で示そうとする。
ワーっと怒鳴り散らして
『何で分かってくれないんだ!』
と暴れる。
彼らはとてもやさしい子たちが多いです。
だから我慢もするし遠慮もします。
でも彼らの小さな心の器はすぐにいっぱいになり
溢れ出てしまう。
そのときの行動が『引きこもる』です。
心配しないであげてください。
その代わり話しを聞いてあげてください。
上から目線でアドバイスをするという聞き方ではなく、
『そうなんだね、そんなことを思ってたんだね。
話してくれてありがとう。気付くことができてうれしいよ。』
とだけ伝えてあげてください。
親にさえ分かってもらえない。
それなら他の人も分かってくれるわけないじゃないか。
これは逆を返せば、
お父さんとお母さんは僕のことを分かってくれた。
他の人もキチンと接すれば分かってもらえるかも。
となります。
一番身近な社会が家族です。
その家族ではなかなか解決できそうにないときに
耕せにっぽんの存在価値があると思いますが、
家族で解決することが可能な場合は
やっぱりそれが一番いいです。
今回、お父さんとお母さんにお願いしたのは、
ご両親の過去の子育てを後悔しないでください。
後悔して『あの時はごめんね。』と言われることがルフィはつらいと言ってました。
人間誰しも間違うことはあります。
だからしっかりルフィの話を聞いてあげて、
『そんな風に考えていたんだね。
そんなことを思っていたんだね。
分かった。一緒にがんばっていこう。』
と伝えてあげてください。
ルフィがお父さんとお母さんに望むことは
『苦しまないでほしい』
たったそれだけです。
ぜひゆっくりと彼と向き合う時間を作ってください。
まだこの選択がよかったかどうかはわかりませんが、
ルフィはちょっと目をキラキラさせながらお父さんの車に乗り込みました。
すぐに結果は出ないと思いますが、状況をお父さんとルフィとに確認しながら、ちょっと遠くから見守っていきたいと思います。